2.橘百音

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 まぶたの腫れも引かない卒業式の次の日に、別の男子生徒が家までやってきて、話がしたいと私に言った。野球部の高橋晃という男子生徒だ。エースで4番。ハンサムな彼は女子生徒から人気があった。何故私なんかにというのが第一印象。    晃に連れられ、近くの公園まで行き、砂場の前で晃と対峙した間も、視界の端に入るベンチを眺めながら、純ちゃんとあそこで並んで座って話をしたことを思い出した。そんな生半可な心理状態だったのに、晃の告白に首を縦に振ってしまったのは、純ちゃんのことを諦めてたかったんだと思う。ここで――このタイミングで線引きをしないといけない。私の決意。
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