2.橘百音

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 なのにどうしてだろう。人間としての晃は大好きだが、男としての晃に惹かれなかったのは。    とはいえ別れるきっかけもなくズルズルと交際を続け、大学も卒業し、晃も私も社会人になっていた。    私はキッチン商品を扱う企業のショールームで働くこととなり、晃もまた家電メーカーの営業についた。    私は接客に気持ちがすり減らされ、晃はノルマが大変そうではあるが、それなりに順調に交際を続け、社会人も三年目のクリスマスの少し前に、とびっきりのレストランを予約したからと晃は私にそう伝えた。
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