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全住民が避難を完了させた無人のアカデミーの街のど真ん中で、ジョナサン・エルネストは神ヘスティアとガチで戦う羽目になっていた。
「気を付けよ我が使いよ!姉ちゃんは永遠の処女神だが、雷神ゼウスの姉ちゃんだ。恐ろしく強いぞ!198のキッチン殺人技を自在に使いこなす!まさにキッチンの守護神だ!ともすれば一瞬で骨まで残らん!」
気まぐれ勇者のシチューとか作られそうだった。
「198のキッチン殺人技って何だ?!」
人類最高のヤリチンが言い争っている間に、ヘスティアは包丁を思いっきり投げ付けてきた。
理論を越えた恐ろしい投擲技を、ジョナサンは大きく跳んで躱していた。
綺麗に街が2分されていた。
「うおおおおおおお!凄え!その殺人技2つ3つ論文に書くだけで卒業出来るだろうが!」
「何言うだや!あたしは料理しか出来ねえべや!なのに永遠の処女を誓ったべや!決してやらせん女をキッチンに立たせる男がいんのきゃあ?!って言うかよくもあたしの傷をおおおおおお!死ねええええええええええええええええ!ヤリチン共がああああああああああああああああああ!!」
「何か一緒くたにされてんぞ!お前もブンブン飛んでないで戦え!」
「嫌だあああああ!姉ちゃん助けてええええええええええ!」
ゼウスのくせに戦う意思を失っていた。
どうでもいいけど、やっぱり俺恨まれるのかよ。
昔からそうだった。人に妙に嫌われる。人の憎しみを肩代わりする。それは、他者の魂と繋がろうとする、勇者としての宿命があった。
数種類のフライパン、鍋の蓋、麺棒等を自在に振るう、けったいな処女が襲いかかってきた。
流石に捌ききれん!あ、ヤバい死ぬ。
神は神だがレベルが違いすぎた。
300メートル四方を一切合切覆う大規模な破壊に抗う術は、ジョナサンにはなかった。
いくら、多重展開技術を高度に修めた、アースツーでも最強の魔法使いであっても。
ゼウスごとペシャンコにされる攻撃は、何故か途中で受け止められていた。
「あたしのスキレットボンバーを受け止めんのかやっぱり。向こうで大人しくしとけや。ぶっくらすど?」
スキレットを下ろして言った。
「ーーユノ」
来ちまったんだな、ユノ。
世界、いや、宇宙最強のひまわりが降臨し、ジョナサンは、事態の終焉は間近であると確信していた。
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