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ロズウェル・リトバール・エルネスト誕生
アリエール!アーちゃん!
王都の中心部に建つリトバール元伯爵邸に飛び込んだ俺は、
「ぎゃああああああああす!ぎゃああああああああす!」
けったいな悲鳴を上げて苦しむ、臨月の愛人を発見した。
「ひいい!先生!助けてくださいまし!お腹が苦しい!痛いですわああ!」
「ああいた!アーちゃん大丈夫か?!コーウェル先生いたな?!アリエールをブンブン台に!ブンブン台って何だあああああああああ?!」
「落ち着いて、陛下。今破水したから」
「ああ!あれ?!リーゼロッテは?!何してんだ産婆は?!」
「リーゼロッテさんは、カノンちゃんとフェリックスくんの面倒を見てもらってるわよ。フェリックスくんはリーゼロッテさんから離れないのよ。ほらお父さん、協力してちょうだい。貴方もう4人目なんだから、そろそろ慣れなさい。その辺レスターそっくり。貴方をメグミカから取り上げた時も狂乱していて」
俺を取り上げてくれた先生が誰か今解りましたあああああああ!
「お、おう任せろ!ああ!苦しそうだなアーちゃん?!」
「マリルカが!臨月の私を使ってジェリコを!それで臥せっていたら突然!先生!助けてくださいまし!」
あー。空からスライム事件か。
「あーもー、すっかり大きくなったアリぱいプルプルさせちゃって!堪らんママになってきたな!ブンブン台に移動だ!」
「ぎ、ぎゃああああああああす!」
産気付いた妊婦を、ブンブン台に運んだ。
おぎゃあああ!おぎゃあああ!
ぐったりと疲れた俺は、どこかで産声を上げた息子を、ぼんやりと認識していた。
「貴方ーー生まれましたのよ?」
ゴージャスな色のベッドカーテンに差し替えられたベッドの上で、アリエールはぐったりしながら嬉しそうだった。
カーテンが気に入らんから替えろって言われて、出産間近にカーテン買いに行かされたんだよな。5回。
「おめでとうございます陛下。元気な男の子ですよ」
「ありがと。先生」
生まれたての息子を俺は抱き上げた。
パヤパヤに生えた金髪が可愛い男の赤ちゃんだった。
「ああ、クンクンしてんな♡俺はお前の父ちゃんだ♡よろしくな♡」
ぐったりした母ちゃんに抱かせた。
「首がまだ座ってないから気を付けて」
身を起こし、おっかなびっくり抱いたアリエールは、まさに慈愛の女神のように美しかった。
髪の毛ボッサボサでも。
赤ん坊がクンクンして、お乳を求めていた。
「ああ。飲んでますのね?私のおっぱいを。ロズウェル♡ロズウェル・リトバール・エルネスト♡」
喜びの涙は、幸せの匂いがしていた。
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