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電話連絡
で?そのあとどうなった?
忙しそうに俺は言った。実際大忙しだった。
生まれたリトバール家の長男はロズウェルと名付けられた。
まあそれはいいのだが、アリエールの産後の肥立ちが落ち着くまで、半分リトバール家に軟禁される羽目になり、家屋の改築や大量の買い出し、今はエンポリオの秘書のような立場になり、新支社の建築の責任者めいたことをさせられていた。
女王陛下ご懐妊に合わせて、伝説都市アガルタの再開発やったんでしょう?軽い軽い。頑張りたまえよ婿殿。とかエンポリオに言われたし。
誰だよドカター・JとかKとか言ってたの。板打ち付け勇者とかうるせえよ。
やっと休憩時間に魔王に電話出来たのだ。
ふん。魔王は鼻白んで言った。
「シチューを食えたので私は帰った。ヘスティアは、無事卒業すると約束した。ユノ様を巡る世界の改編は復元された。今、ユノ様の命令で、論文の代筆をだな。正直久し振りなのだが」
「ヘスティアはともかく、ユノのゴーストは認めんぞ。あれ?お前の論文?読んだことないから興味はあるんだが」
アライダー・ファーストエビルは愛読書中の愛読書だった。
読んだことないなどちゃんちゃらおかしかった。
魔王の本名のもじりがエビルだなどと、当時の俺の理解を越えていた。
「私としては、あのババアが復帰することになってたまげたぞ。まあ、ステージ2のすい臓癌など私の医療魔法と眼鏡おぼこのジュースで一発だった。あと80年は生きるぞあのババアは。まあ予後まで面倒は見てやる」
魔王大好きだもんな。エレクトーラのシチュー。
ダブり続けていたヘスティアが、フライパンを持ち出し、フラさんの料理対決を受けた時点で、俺はエレクトーラを担ぎ出す筋書きが見えていた。
ヘスティアが、彼女のシチューを食っていないはずがない。
魔王を送ったのも、エレクトーラと魔王の間にあった絆を見越してのものだった。
文化祭で、連名でシチューの屋台やってたくらいだし。
ババアババアとぞんざいな口利きをするが、あのマザコン魔王はきっと、エレクトーラを慕っているだろうと言う気はしていた。
まあ、八方丸く収まってよかったよ。
「そう言えば、魔王、アカデミーのレストランのマスター以下、スタッフごとサウス・フォートに引き抜いたろう?エレクトーラの息子夫婦を」
「ババアの血族ならば、きっといい仕事をするだろう。私の好みのお袋の味を受け継ぐ逸材だ。ああ、今日はビーフシチューか。おいババアの息子!溶けたバターを浮かべるタイミングがおかしい!バターでなく生クリームの方が私の好み」
おい。やっぱり途中で切れたよ電話。
あー。ここんところ、食堂のいつものシチューが食えなくて、俺も残念だったんだ。
アリエールが解禁になったら、一回帰ってシチューを食おう。
学園国家アカデミーのキッチンの守護神が出来たって、まあいいさそれでも。
バイトしながら卒業してくれよ。ヘスティア。
「王陛下!やっぱり何か埋まってましたぜ!」
作業員ががなったので、俺は携帯をポケットに放り込んだ。
「ああ!魔王が作ったローマ水道の名残だよ!金属製だとヒドラワームに食われるから!ちょっと待ってろ!新しい水道構築して通さんと!」
ドカタ王は頑張っていた。
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