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ep.9
土曜日、御堂は快晴の空を見て安心した。スマートフォンの天気アプリでは今日は10月初めの暖かさだと書かれている。暖かいというより、少し体を動かしたら暑いくらいかもしれない。11月を迎えた最近は冷え込みが強くなってきているせいで三神峯に風邪を引かせてしまわないか心配だったが、今日の暖かさなら大丈夫だろう。
家の最寄り駅から京王新線と東西線を使って茅場町の駅で降りた御堂は、記憶を頼りに三神峯の家に向かった。
(たしかこのへんだったかな)
茅場町の駅から歩いて5分程度。この前は東京駅から歩いていたが、途中で目に入った駅の表示から数えればだいたいそれくらいだったと御堂は思い返す。あのとき彼がここだよ、と足を止めたのはコンビニ近くの築浅のマンションだったはずだ。職業柄周りの建物や景色を見て歩くことが多いせいか、一度歩いた場所は割とすぐに覚えている。
「景?」
「あ、和樹。おはよう」
オフィスビルが立ち並ぶ大通りから一本入った道路沿いのマンションの前に三神峯らしき人影を見つけて思わず声をかけた。御堂の声に顔を上げた三神峯はふわりと顔を綻ばせ、御堂に駆け寄る。
「ちゃんとした住所教えてなかったからやっぱり心配で。本当は駅まで行こうかと思ってたんだけど、すれ違いになっても困るから家の前にいたんだ」
(え、俺のこと待ってたってこと? 駅まで来ようとしてくれてたの?)
「やっぱスマホがないと不便だね……和樹?」
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