ep.9

9/28
前へ
/192ページ
次へ
* * * 「ありがとうございました!」 「よかったね、最新機種の在庫あって」 「ごめんね、色々プランまで選んでもらっちゃって」  画面がつかなくなった前のスマートフォンは修理が難しいと言われてしまい、三神峯は機種そのものを買い替えることにしたらしい。そこまでは良かったのだが、どの機種か決まっていますか、最近では……とショップ店員からの最新機種の宣伝が始まり、困っていたところを見兼ねて御堂が助け舟を出したのだ。結局機種の容量からプランの設定まで、すべて御堂が主導で決めてしまった。 「逆に俺が決めちゃってごめんね。景がよければ端末の設定までするけど……、どうする?」 「……お願いしてもいい?」  三神峯は機械に弱いわけではないが、興味がないせいか必要最低限の設定をすれば満足してしまうという。せっかくの最新機種だし、和樹が詳しいならお願いしたい、と三神峯は御堂を見上げて答えた。自分から言っておきながら、三神峯に頼られるのが嬉しくて仕方がない。 「了解。じゃああとで設定してあげるね」 「よかった、これで俺も最新機種使いこなせるかも。ずっともったいないなって思ってたんだよね。かといって格安スマホにする気もなかったし」  新しいスマートフォンを色々な角度から眺めながら顔を綻ばせる三神峯に、御堂も自然と顔が綻んでしまう。三神峯が嬉しそうなら何よりだ。 (本当に、ふわふわしてるっていうか、たまらなくかわいいんだよなあ)
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1511人が本棚に入れています
本棚に追加