ep.9

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(ていうか、完全に景のこと女の子だと勘違いしてるよな……。まあ、それだけ美人なんだし、仕方ないけど)  すると店員がカップル限定でペアキーホルダーをお渡ししているんですよ、そう続けて透明の袋に入ったアクリルキーホルダーを見せてくれた。ストアの外で待つ三神峯を一瞥(いちべつ)して、店員に笑いかける。 (ペアキーホルダーね……。せっかくだしもらってもいいか) 「……あ、じゃあこのマグカップのピンク色のものを追加と、ピンクのマグカップとタオルは別に包んでもらえますか?」 「おそろいですね! ただいま持ってきますのでお待ちください!」  ペアキーホルダーは一つはハートを持ったカワウソで、もう一つも同じようにハートを持ったカワウソの友達らしいひよこのキーホルダーだった。カップルだと思われてもらったよ、そう言ったのなら彼はどんな反応をするだろうか。きっと嬉しそうに顔を綻ばせるだろう、その顔が思い浮かんで、御堂は御堂は会計を終えると足早に三神峯のもとへ向かった。 「おまたせ、景。ペアキーホルダーもらったよ。カップル限定で配ってるんだって。どっちがいい?」 「ペアキーホルダー? 俺たち、カップルに見えてた?」 「美男美女カップルって言われたよ。嫌だった?」 「全然。……すごく嬉しい。俺はひよこでいいよ。ありがとう」  もらったキーホルダーを2つ見せると、三神峯は御堂の想像通り嬉しそうに顔を綻ばせた。御堂の行動や言葉ひとつひとつに顔を綻ばせる三神峯が本当に愛おしい。早速ひよこのキーホルダーを鞄のショルダー部分につけようとしている三神峯の髪をそっと撫でれば、三神峯も受け入れるように目を緩めた。 「タオルも買ってくれてありがとう。ふふ、今日から使おうかな」
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