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(朝に食べてきたものがお腹に残ってたのかな。それにしても飲むスピードも遅かったような気がするけど……)
とはいえ、本人がそれでいいと言うのであればそれ以上聞くつもりはない。御堂は冷めかけたカフェオリジナルのブレンドコーヒーを流し込みながらスマートフォンを楽しそうに操作する三神峯に問いかけた。
「景、このあとどこか行きたいところある?」
「んー、和樹がよかったら買い物したいかも。ネクタイとワイシャツほしいんだよね」
この前ひとつ捨てちゃったから、三神峯はそう続ける。ちょうど御堂もネクタイを新調しようと思っていたところで、それならば、と御堂が愛用しているブランドの店に行くことにした。
「了解。俺もネクタイ買おうかなって思ってたんだ。もう行く?」
「うん。和樹こそ大丈夫? もう少しお腹休めなくてもいい?」
「俺は大丈夫だよ」
鞄を持って立ち上がった三神峯を見届けて、御堂も伝票を持って立ち上がる。まとめて会計をする旨を伝えれば彼は少しだけ拗ねたように、でも嬉しそうに頷いた。カフェの近くの商業施設に向かう途中、次は俺が出すからね、と意気込む三神峯を愛しく思いながらその頬を優しく撫でた。
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