ep.10 *

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「か、ずき、……っふあ、もう……」 「ン……、ごめん、苦しかった?」 「は……っ、あ……」  限界を訴える三神峯にもう少し甘く柔らかい口内を味わっていたかったと言わんばかりにキスを落として解放する。つないだ銀糸と濡れた唇がやけに色っぽいと思った。蕩けた表情で呼吸を整えていた三神峯が、ふと何かに気づいたように御堂の唇を指先でなぞるとふわりと笑う。 「……ふふ、和樹の唇も、赤くなっちゃったね」  三神峯がつけていたリップの色が移ったのだろう、まさかそんなかわいいことを言われるとは思わなかった。彼に触れたい、もっと、深いところまで感じたい。自分だけを求める彼を、どろどろに溶かして甘やかしてやりたい。 「唇拭いて……んっ……!?」  抑えが効かず、御堂はもう一度三神峯の唇に噛みついた。 「あ、んん、ふ……っ」 「景……っ」 「ん、かずき……」  今度は三神峯もキスを受け入れ、御堂の唇に吸い付いてきた。蕩けた表情に、欲に染まった目元。ソファに押し倒した三神峯は、まるでその先を求めるかのように御堂を見上げる。この続きを、したくないわけがない。自分の手で乱れて、求める三神峯が見たい。 「――……っ」  それでも、胸元を掴んだ三神峯を見て脳裏に浮かんだのは苦しそうに縋るあの姿だった。
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