ep.10 *

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 * * * 「時刻は19時、今週のニュースのおさらい、セブンウィークのお時間です……」  先にシャワーを借りた御堂は、リビングのソファを借りて深く座り込むと、静かにため息を吐いた。三神峯がシャワーを浴びている間、何となくテレビをつければ週間のニュースを取り上げる報道番組が始まったところだ。 (……俺、景が体弱いことはなんとなく察してたけど、詳しい病状をちゃんと聞いたことはなかったな)  しばらくリビングのソファに座ってぼんやりとテレビを眺めていたが、流れてくる国際情勢のニュースなど全く頭に入ってこない。ぐるぐると頭の中で反芻(はんすう)しているのは、三神峯の体のことだった。血を吐くほど弱った体に、服に隠された体中の痣。服に隠された痣は行為中に偶然見つけてしまったもので、特に多かったのは腹部と背中から腰にかけてだった。 (あんまり踏み込んでも嫌だろうから聞けないし、あの痣、本人は気にしてなかった感じだけど……) 「和樹、おまたせ」 「あ、おかえり。ごめん、勝手にテレビつけて」  そんなことを考えていると、シャワーを終えた三神峯がリビングに戻ってきた。部屋着姿の御堂を見て彼は嬉しそうに笑う。 「いいよ? やっぱりスウェット黒にしてよかったね。和樹に似合ってる」 「……ふ、そう言ってもらえて嬉しいな」  あれからもう一度体を重ねたあと、東京駅の八重洲地下街にあるファストファッションの店に御堂の部屋着を買いに出かけた。家へ取りに戻ってもよかったのだが、ようやく取り付けた三神峯と一緒にいることができる時間なのだ、離れてしまう時間がもったいなかった。
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