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――お疲れ様です。情報ありがとうございます。次の探索の糧になります。最近寒くなってきているので無理なさらないでくださいね。
――情報ありがとうございました。毎日遅い時間までお疲れ様です。御堂さんが仕入れてくれた情報はこちらでちゃんと活かします。
ずっとその職員と会って、話をしてみたいと思っていた。それが展示会で叶った時、嬉しくて仕方がなかった。
「景、景はさっき俺に救われてるって言ってくれたけど、俺こそずっと、顔も姿も知らない景に救われていたんだよ」
三神峯の指が御堂の目元を拭った。ああ、自分は泣いているのか。彼女の浮気現場を目にしても、あれほど辛くても涙は出なかったのに。必死に涙を拭ってくれる三神峯の瞳からも涙がこぼれ落ちていた。
「病気、辛かったね、苦しかったね。俺は医者じゃないから一緒に治していこうなんて軽率なことは言えないけど、苦しいのも痛いのも、一緒に背負っていきたい。だから、ね、一緒に住もう」
「……っ、うん……っ、和樹も、もう大丈夫だよ。辛かったよね。それなのに頼ってばかりでごめんね……っ」
「違うんだ、これは俺がちゃんと伝えておきたかっただけ。いつだって、景が頼ってくれるのが嬉しかった……っ」
お互い涙でぐしゃぐしゃの顔だった。三神峯を強く抱きしめて、御堂も泣いた。いい大人が情けないと頭の片隅では冷静な自分もいたが、三神峯が泣いてくれるからこそ、御堂も泣くことができた。
しばらくしてから真っ赤になった目元を見て、お互い笑い合ったのがどうしてか幸せだった。
「部署が違うからどうしてもいつでもそばにいるってわけにはいかないけど、俺はいつだって景の味方だからね」
ようやく、三神峯と心が通い合った気がした。もちろんお互いことは理解していたつもりだが、全てを曝け出して、全てを受け止めてもらえた気がした。それはきっと、三神峯も同じだったと思う。
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