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「……御堂さん」
「さい!?」
「さっきの言葉、信じてもいいですか」
突然口を開いた三神峯に、変な声で返事をしてしまった。酔いで変な煩悩が邪魔をしていたせいだ。だが、そんな御堂とは裏腹な三神峯の真剣な話しぶりに、御堂は煩悩を振り切る。
「さっき、とは」
「……僕が、御堂さんに悩みを打ち明けたら、御堂さんは信じてくれますか。迷惑になりませんか」
三神峯の金色の瞳は目元が赤く、潤んでいた。それは酒のせいなのか、涙なのか。御堂は食い入るように答える。
「当たり前です。絶対に信じますし、迷惑だなんて思わないですよ。だから――」
「しゅにん! ぼくまだできます!」
かっこよく決めたいところだったが、またしても諏訪に言葉を遮られてしまった。本日3回目だ。声をあげた諏訪に三神峯も困ったように笑っている。夢心地の諏訪に適当に返事をし、支え直してからもう一度三神峯に向き合った。
「三神峯さん、まだ飲めますか?」
「え? はい。まだ大丈夫ですけど……」
「じゃあ、ホテルにチェックインしたらもう一度どこかで飲み直しませんか」
千載一遇のチャンスを、御堂は逃したくなかった。
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