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「え……?」
「もちろん、恋愛感情で。俺なら三神峯さんを苦しませないし、あんな、辛そうな顔なんてさせない。会ったばかりで何言ってるんだ、って思うかもしれないけど、俺は興味本位でこんなことは言わない。本気なんだ」
「…………」
三神峯の表情は強張ったままだった。しばらく沈黙が続いたあと、目線を落として三神峯は言った。
「……僕は、御堂さんが思っているほど出来た人間ではない、です」
その言葉に、ずん、と御堂の胸が重くなる。
――ああ、拒絶するのであれば、もっと強く拒絶して欲しかった。手を振り切って、軽蔑した目で見られれば諦めもついただろうに。
燻る気持ちが、まだ諦めてはいけないと言われている気がする。すると三神峯は震える声で続けた。
「御堂さんには僕なんかより、もっと相応しい人がいます。僕みたいな人間はもったいない……」
「……俺は、相応しい人とか釣り合う人とかじゃなくて、俺自身が好きになった人と一緒になりたいよ。ごめんね、困らせて」
「困ってなんか、ない……」
唇に滑らせていた手を離すと、物足りなさそうな瞳を向けられた。
「――っ」
耐えきれず御堂は三神峯に口付けた。
触れるだけのキスは、拒まれればすぐに離すつもりだった。だけど三神峯はそれを受け入れ、御堂の唇に吸い付いてくる。唇を離し、鼻先が触れる距離で三神峯に尋ねた。
「……嫌?」
「……御堂さんなら、大丈夫」
唇に触れるたびに体をぴくりと反応させるのが愛おしくて、何度も啄むように口づける。柔らかい唇を食むように舌で唇をなぞり、三神峯の舌に絡めた。
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