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「ふ、あっ……御堂さ、ん……っ」
「ん……」
「ん、あ……んぅ……っ」
(頭、蕩けそう……)
三神峯は御堂の腕を掴んで、力が抜けそうな体を必死に支える。
弱い口に触れられるのはたとえ付き合った彼女にでさえ嫌だったのに、御堂のキスは気持ちよくてもっとしてほしい、とすら思ってしまう。
ちゅ、と名残惜しそうに、御堂は三神峯の唇にキスを落として三神峯を解放した。三神峯ももっとほしい、と言わんばかりの表情をしながら、肩で浅い呼吸を繰り返している。
「……あ……」
「ごめん、完全に酔ってる。ごめんね」
「…………」
「明日もあるし、帰ろうか」
酔いのせいにしたのは、拒絶されるのが嫌だったからだ。
会計を早々に済ませ、バーテンダーに呼び止められた三神峯に先に出てるよ、と告げて店の外に出る。夜も更ければ大阪とはいえ秋の風が冷たいなと思いながら御堂は三神峯が出てくるのを待った。
「すみません、お待たせしました」
「大丈夫だよ。行こうか」
御堂も三神峯も、なんとなく会話が思いつかなかった。まだ眠らない街を眺めながら、無言のままホテルまでの道を歩く。
「御堂さん」
「ん?」
沈黙を破ったのは三神峯だった。三神峯が御堂の名前を呼んだとき、彼は足を止めた。同じように御堂も立ち止まって三神峯に向き合う。
「僕、口が弱くて、人に触られるのが嫌なんです。それがたとえ付き合っている彼女でも、家族だったとしても」
「えっ、そうなの? ごめ……」
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