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「いきなり好きって言われてどうすればいいのか、なんて答えればいいのかまだよくわからないけど、俺は、みど……、か、和樹に離れてほしくない。和樹が他の人に優しくするのは嫌だなって……、わっ」
「それで充分」
御堂は三神峯の腕を引っ張って腕の中に閉じ込めた。身長差があるせいで三神峯は長身の御堂の腕の中にすっぽりと収まってしまう。御堂のスタイルの良さに嫉妬しそうになったが、ぎゅう、と強く抱きしめられて鼻いっぱいに御堂の上品な香りに包まれるとそれだけで何も考えられなかった。
「答えを出すのも、気持ちの整理をつけるのも、いつまでも待つよ。今は、俺が他の人に優しくするのは嫌っていうかわいい理由だけで充分」
「……和樹……」
(ドキドキしておかしくなりそう……)
御堂の声は優しかった。それに、抱きしめられた腕と胸が逞しいと思った。顔に熱が集中して胸が高鳴ることに、恋を初めて知った生娘のようで恥ずかしい。三神峯とてこれまで彼女がいなかったわけではない。それなりにお付き合いを重ねてきたし、それなりの関係を築いてきた。それが御堂相手だと御堂の背に手を回すことすら恥ずかしくて躊躇ってしまう。
それが伝わってしまったのか、御堂が小さく笑って言った。
「分かる? 俺もドキドキしてる」
(……本当だ)
御堂もいつも以上に緊張していた。ここで断られたら恰好がつかないとも思っていた。三神峯を抱きしめる腕だって、本当は震えている。
「好きだよ、景」
「……っ」
そう耳元で御堂の低い声に囁かれて、ぞくりと三神峯の背筋に電流が走る。御堂を見上げれば、彼の頬が赤く染まり、気の強い垂れ目が細められた。自然と重ねられた唇は、拒む理由がなかった。
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