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ep.5
『東京ー、東京です』
「やっと終わった……」
「無事に終わってよかったです」
無事に展示会も終わり、東京に戻ってきた。この2日間で諏訪にもいい勉強になったと思う。御堂は東海道新幹線の改札を抜けて体を伸ばした。
同行してくれた三神峯はというと、展示会の終了直前に外せない用事が出来てしまったと一足先に帰ってしまい、一緒に帰ってくることもまともにお礼をすること叶わなかった。それが少しだけ、心残りである。
「諏訪、お疲れ」
「お疲れ様でした! 御堂主任、ありがとうございました!」
時刻はすでに22時近くになっていた。展示会が終わったときに部長からは直帰していいと言われたため、諏訪とも東京駅で解散だ。
「あ、あとお礼なら三神峯さんにも言っておけよ。今回はあの人のおかげも大きいからな。週明け、メールでもチャットでも内線でもいいから」
「はい! 最後、忙しそうにしててお話しできませんでした……」
「研究がなかなか進まなくて色々大変だったらしいよ。そんな中来てくれてありがたいよ、本当に」
外せない用事というのも、きっと彼の上司からの命令だろう。展示会中も何度も連絡が来ていたことに気づいていながらも何もできなかった自分のやるせなさに、御堂は苛立ちすら覚えていた。
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