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「御堂主任?」
「……あ、ごめん。じゃあ今日のことは週明け、定例会で報告するから」
「分かりました! お疲れ様でした!」
律儀に頭を下げる諏訪にもう一度お疲れ、と伝えて、家に帰るべく東西線の乗り換え口に向かう。
この2日間は色々ありすぎて珍しく疲れてしまった。三神峯と一緒に仕事ができたことは諏訪にも、そして自分にもプラスになったと思う。
それに、三神峯を守りたいと思うのは決して酒の勢いやその場の同情などではない。
(景、もう家に着いたかな……)
メッセージアプリを開いて昨日交換したばかりの三神峯とのトーク画面を開く。しつこくメッセージを送るのもどうかと思って、昨日は三神峯の返信を見て終わりにしてしまった。
本当は、声ももう一度聞きたかったけど。
≪展示会お疲れ様。土日、ゆっくり休んでね。今度時間があったらコーヒーでも飲みに行こうよ≫
デート一つ誘うのもこんなに緊張するなんて何年ぶりだろうか。御堂は電車のドアに凭れて三神峯が今朝返してきたマフラーに顔を埋めながら、トーク履歴を何度も読み返した。たった数回のやり取りを何度も読み返しては、顔が緩むのを抑えきれなかった。
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