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「こういうことは慣れてる、はずだったんだけど。一昨日和樹に色々話を聞いてもらってからどうしても、和樹の声が聞きたくて……。たぶん、和樹に大丈夫、って言ってほしかったんだと……、
――あれ……」
涙が、三神峯の頬を伝った。
無意識のようで、三神峯自身も驚いている。
「……景」
「ごめん、そんなつもりじゃ……」
「もういいよ。強がらなくていい。たった数日前に会ったばかりの俺だけど、景が一生懸命仕事をしているのは十分にわかったよ。だから――、……景?」
「ちが、う……」
「景、どうした?」
涙を拭っていた三神峯の動きがゆっくりと止まり、御堂の呼びかけにも答えずに膝から崩れ落ちた。
「景!!」
慌てて抱えた三神峯の顔は真っ青というよりも血の気がなく、すでに彼に意識はなかった。
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