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次の日、腕の中で身じろいだ三神峯に御堂は目が覚めた。おはよう、と抱き寄せれば、三神峯はまだ半分寝ているのか深呼吸と一緒ににすり、と胸に顔を擦り寄せてくる。わずかに残る昨夜の欲がまだ体の奥で燻っているような気がしたが、気が付かないふりをした。
「かずき、おはよ……」
「体、辛くない?」
御堂はそう言って三神峯の額に鼻先を寄せた。同じシャンプーの香りがするのが、たまらなく愛おしい。
「……大丈夫。でも、ちょっと顔は痛いかも。まばたきするのがちょっとひどいかな……」
それまで微睡んでいた三神峯は、ぱちぱちと数回瞬きを繰り返すと頬に貼ってある湿布に触れながらそう答えた。
たしかに湿布で隠れている頬はまだ腫れが引かず赤紫色に変色した部分が広がっている。よほど強く殴られたのだと、御堂は痛む心にため息をついた。彼は肌が白いから、その痛々しい色がより一層目立ってしまうのだろう。
「せめて明日までに色が引くといいな。湿布取りかえようか」
「ごめんね、色々。もうひとりでできるから大丈夫だよ」
体を起こしてベッドを降りようとする御堂に、慌てて三神峯も体を起こした。毛布が三神峯の体から離れて、白くしっとりとした肌が露わになる。正直、下着一枚であちこちに咲かせた赤い痕が残る体は御堂の目には毒だった。
燻っていた欲が沸き上がって彼に触れたいと訴えていたが、寒いだろうから、と冷静を装って三神峯の肩に毛布を引き上げてまだ横になっているように促した。
「大丈夫。景は待ってて。お水も持ってくるから」
「んん……」
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