ep.6 *

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 御堂はふっと目元を緩めると、抱き寄せていた腕に力を込めてさらに強い力で三神峯を抱きしめる。自分のために腹を立ててくれていたことを知って、三神峯は自然と笑みがこぼれてきた。 「……ふふ、なにそれ」 「フレンチトースト食べたら少し散歩に行こうよ。天気もいいし、気分転換になるよ」  せっかく二人でいるのに、いない人のことに腹を立てていたら時間がもったいないからね。そう、御堂は続けた。 「少し落ち着いた?」 「……うん」  御堂の言う通りだ。想いが通じ合ったばかりのせっかくの二人の時間だというのに、嫌な気分に苛まれていては時間だけが過ぎていくばかりでもったいない。  ほら、もう少しでできるからソファーで待ってて。そう言った御堂に促されるままソファーに戻ると、いつの間にかズキズキとした胃の痛みは不思議と軽減されていた。
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