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(……何が最善策なんだろ)
頭の回転が早いと自負している御堂でさえ、何が彼にとって最善の策なのかわからない。いまだ既読のつかないメッセージを思い返して、御堂は深くため息をついた。
「そういえば薬研課の大野田、ここのバターサンドが好きなんだよ」
「そうなんですか?」
新千歳空港で、一緒にいた営業部長がふとそうこぼした。そういえば営業部長と薬事研究課の部長はたしか同期で、そこそこ交流があったはずだ。そのおかげで展示会にも薬事研究課の三神峯が同行したのだが、営業部長の記憶は間違いないだろう。
いいことを聞いた、と御堂はバターサンドの箱を手に取る。
「部長、薬研課には先日のお礼もありますし、僕ちょっと薬研課にコレ買ってきますね」
「おお、そうだね。頼んだよ」
(……よし、これで薬研課に行く口実が出来たな)
レジに向かう途中で見つけたシマエナガのストラップをついでに手にとって、店員に渡した。
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