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中身を確認して存在感しかないペーパーバックを取り出す。 日本で売っている本とは違う、単行本位の大きさなのに厚紙の表紙、真っ黒なカバーに赤い字で題名が記されている、シンプル過ぎて日本製と誰も思わない作り。厚みも辞書並み、ページをめくると当たり前だが横文字でアルファベットがズラリと並ぶ。 「場所取るし重いから、違うのがいいってアドバイスしたんだけど」 金沢ママが隣の娘に向け呆れ顔。 「読んだら私に貸してよ、処分に困ったら売ってあげるからさ」 「もう、恵那」 ママが眉をひそめ、険のある声を上げる。
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