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大通りに出るゆるい坂道をチャリで下っていくと、道沿いの公園の方からガキの叫び声が上がった、それに伝染したような甲高い声が続く。横目を使うと小学生低学年くらいの男女が5、6人鬼ごっこに興じている。微笑ましい、本当に。 金沢が猫背になった時期とカンニングした時期がほぼ重なっている。 多分金沢は木戸先生よりも背が高いのを気にしているのだ。(猫背になると身長が低くなるのは有名だ) 知識と人柄に触れたいだけなら自分の身長など気にならないはず。 ならば金沢は木戸先生に好意をいやそれ以上のものを寄せている。 だが今日、見送りもしないのは何故だ?。 最後なのだ今日は特別な日、それを無視できるのだろうか。 渋谷の本校に通わない限り木戸先生には会えないのだ。金沢を送る約束は継続中、本校に通うとは聞いていない。見る機会は衛星放送だけになる、身長など意味を持たない、それでも猫背を貫くのは••••••。 もしかしてもしかして、もう2人の関係はすでに••••••。 それなら金沢が今日澄ましていた意味がわかる。 私は、あなた達と違って金魚のふんにならなくても、いつでも独占出来るんだよ、と。
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