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「何度もお前に連絡したんだけどな」 深沢は形の良い鼻筋から乱れたメガネを人差し指で直す。 「忘れてたわ」 試験が終わってからスマホの電源を入れていなかったのに気付く、ポケットから取り出し電源を入れると、アプリと電話で深沢からの着信があった。 「何か約束してたっけ」 心当たりがない、頭の中のスケジュールでは明日、久し振りに中学の時の友達と遊ぶ約束だけ。 「まあ、ちょっとな」 要領得ない返答、視線を泳がせて口ごもる。 深沢とは昼食の時間を一緒にとり、休み時間など、よく話をする間柄。帰る方向も同じなので、気の合う奴等と学校帰りにファミレスに寄ったり、家でゲームなんかをしているがプライベートで会ったことはない。
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