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事情を聞くと、深沢が通っている予備校で友達を紹介すると1万円のママゾン商品券が貰えるというのだ。冬期講習でも貰え、それを半分づつ分けたいらしい。てっきりヤバイバイトなのかと身構えてしまった。 「訳は分かったけど、それだと俺は予備校に入って、授業料を払わないといけないんだよな」 ペダルを漕ぎながら浮かんでくる疑問が口を突く。風を切ってもマフラーが必要なく心地よい首元、師走の陽気とは思えない。 「体験入学で5000円、冬季講習で5000円の商品券は悪くないだろ、講師が優秀だから絶対に学力上がる、それは保証する」 深沢は終始こちらの顔色を伺う。 「何か欲しいのがあんの?」 「まあそんなとこ」 深沢はバツが悪そうに苦笑いを浮かべる。
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