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「でも美由ちゃんは未成年ですよね、結婚できるんだっけ?」僕は言う。
「学校で習わなかったかい? 男は18歳、女は16歳」
「ああ、それたしか、男女平等でともに18歳になるって習ったような・・・」
「おお。よく知っているね。法律の中の民法で、2022年4月から結婚は男女ともに満18歳以上になる」
「ってことは、今ならまだギリギリ間に合うってことですね」
「うん」
「美由が・・・美由が、月に帰るまであと1年、どうにか美由の夢を叶えてあげたくて・・・」章太郎さんは急に涙を零した。
「まさにかぐや姫的な? てか宇宙人?」
「うん。宇宙人と人間・秋山章太郎とのハーフってわけさ」父さんが言った。
「うーん。なんだかわかんないけど美由姫は寿命が17年ってわけですね」僕は言った。
「いや、17年したら月へ帰る、ということさ」と父。
「龍之介、直也君、本当にすまないが、この美由の幸せを叶えてやってくれないだろうか、この通り。僕からのお願いだ」美由の父・章太郎さんは頭を下げた。
「限りある時間、美由には、たくさん幸せな思いをさせてあげたい」父さんは言う。
「直也くんにもびっくりさせてしまったね。多感な年頃だとは十分にわかっっている。なにかと気を使うかもしれないが困ったら遠慮なく美由には思いをぶつけて欲しい」章太郎さんは言った。
「わ、わかりました。17歳までのかぐや姫、時間は限られているんですね」わからないけどそう言った。
「そうなんだ、よろしく頼むよ」
「直也くん よろしく♪」美由は言った。
「父さん、本当に本気?」僕は思わず口走った。
「ああ。美由のことを幸せにしたいと思っている」
「もう。おのろけだなー目も当てられない!」
「さあ、そろそろ行くか」父さんは言った。
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