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「美由、とりあえず必要な着替えや必要なものを用意してきなさい」父さんは言った。
「はーい」
「ベッドや荷物は後で引っ越しすることにしよう」
「ベッド必要?」美由ははにかんだ。
その場の雰囲気が凍った。
(まさか2人で1つのベッド?)僕は鼻血が出そうになる。
「あはは、美由。困らせるんじゃないよ、さ、2階にいって荷物をとってきなさい」
「はーい、初めてのお泊り、美由、なんか緊張するー!」
*
家までの帰り道。
たまらなく変な光景だ。
父さんは右手で美由のキャリーバッグをゴロゴロと引きずって、左手は美由の右手と手をつないでいる。
僕は後ろからトボトボと2人の後を追うかたち。
周りからどんなふうに見られているのだろう。
制服女子高生と手を繋ぐ父さん、そして僕。おかしな3人だ。学校の友だちに見られたらどうしよう?
僕に彼女が出来たと思われるのかなあ? それにしても手をつないでいるのはおっさんだしな。
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