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「美由、直也、今日は何が食べたい?」父さんは言った。
「やっぱ寿司じゃね」僕は言う。
「寿司か、直也の好きなステーキでもいいんだぞ」
「オームーラーイース♪」素っ頓狂な声で美由が叫んだ。
「えー? ウチで食べんの?」
「あたし、好きな人にオムライスを作ってあげるのが夢だったの、ね、お願い!」
「じゃあオムライスだな」
「えー・・・父さんってば・・・」僕は閉口した。
「いいじゃないか 早速、夢を叶えてあげようじゃないか」
「美由ちゃんが作るの?」
「チッチッチ! こらこら直也、いまあたしのこと『美由ちゃん』っていったでしょ」
「ああ だめかな」
「ノンノンだよ。どこの家に自分のお母さんを名前で呼ぶ家があるの? しかも『ちゃん』付けで呼ぶ息子なんてありえない」
「じゃあなんて呼べばいいんだよ? 『ママ』?『母さん』?」
「うーん、『ママ』は子供っぽいかな。16歳になったんだから『お母さん』って呼びなさい」と美由。
「なんだよ、その上から目線!」
「文句ある? あたし直也のお母さんだもの」
「うへえ、いつの間にか『直也くん』が『直也』になってる・・・」
「まあまあ、2人とも・・・さっそくヒートアップだな、あはは。そこのスーパーで食材を買っていこう」父さんは言った。
僕は恥ずかしいので、店の外で待つことにした。
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