記憶

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母なきあとは父はシングルファーザーになって一生懸命、僕を育ててくれた。 父は有名な芸大を出て、画家をしている。 仕事場が戸建ての敷地にあるアトリエの中なので子育てはしやすかったのかもしれない。 もう10年以上も父さんとの生活。お母さんがいないことは当たり前になっていたんだ。 もちろん母親のいる友人やクラスメートが羨ましくないわけはない。 「直也! お弁当持ったの? 今日はピーマンの肉詰めよ」 「直也、彼女でもできたの? そろそろあんたも年頃だし」 なんて想像してみると言われてみたい気もなくはない。 でもすっかり慣れてしまったんだ。父さんとの2人の生活に。特に支障がない。 「いなくてもいいかな」僕はそう思っていた。 あのが我が家にやってくるまでは。 そう。この物語は我が家、二階堂家に来た新しいをめぐるハチャメチャなお話である。 嘘のような本当の話。彼女が来て我が人生は波乱万丈に大きく変わっていくことになる。 僕と新しいお母さんの忘れられないストーリーの始まり、始まり・・・。
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