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初めての朝
(ウィーン ウィーン ウィンウィン!)
「なんだよ、うっせいなー」僕は掃除機の音にハッとした。
ガヴァッ!
ベッドの布団を跳ね上げる。
「あ!、いつの間に、俺寝てた?!」
僕はついさっき明るくなるまで悶々としながらゲームをやっていたのを思い出した。
ついに明るくなった頃に眠ってしまったらしい。
(何時だ?)スマホを見る。
(6時か)
(それにしても朝から掃除機って!)
僕はすぐに美由の存在を思い出した。
僕はスウェットのまま僕の部屋を飛び出した。
美由はもう制服に着替えている。
「美由! 何やってんの!」
「ノンノン! 美由って言わないで、『お母さん』でしょ」
「お母さん、なんだよこんな朝早くから、起きちゃったじゃないか」
「あら、そう。おはよう」
「おはようじゃねーよ、掃除機なんてこんな朝からかけなくっていいから」
「だって実家でも掃除機は朝だし、なんたってあたし『お母さん』だから」
「いいよ、俺がやるから。掃除機は学校から帰ってやればいいじゃないか」
「お母さんの命令です♪ 掃除機は朝にかける、文句言わない!」
美由は顔のあたりでピースサインをしてウインクした。
朝から卒倒しそうな美由のスマイル。
「ったく、お母さんだって高校生だろ、家事は分担しようよ」
「うーん、美由、部活もしてないし家事をやるのは当たり前だったから大丈夫だよ」
「俺だっておんなじだよ、お母さんが全部する必要はないよ、分担しよう」
「うーん、じゃ考えておく。今日の夜、みんなで決めよ」
「それと朝の掃除機は勘弁・・・」
「ダーメ」
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