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二階堂家3人揃ってのはじめての朝食。
ダイニングには焼きたてのトースト、目玉焼き、こんがり焼いたベーコンが並ぶ。
「父さん、なんとか言ってよ、母さん、朝の6時から掃除機をかけるんだ。うるさくって起きちゃうよ」
「早起きしたのか。いいことじゃないか。この際だから、朝食前に父さんみたいにランニングしたらどうだ?」
父さんは朝6時に起きて引田川の河川敷にランニングするのが日課だった。
「ウヘー 父さんも美由の味方かよ、高校生の朝は1分1秒でも寝ていたいものなんだよ」
「ノンノン 美由じゃない、お母さんでしょ」美由はマグカップのコーンスープにトーストを浸して言った。
「お母さんの言うことは聞きなさい。お母さんは家のためにハリキッているんだ。頑張っていて偉いじゃないか」
「なんだい・・・お母さんには甘いなあ。俺だって家事はやってきたのに」
「直也も偉い。しかし直也、お前も高校生の大事な時間だ。これからは少し自由になって、部活や遊びも楽しんでくるといいんじゃないか」
「賛成ー♪ 直也、せっかくハイスペック男子なんだからアオハルをエンジョイしたらいいと、お母さんも思うわ」
「うーん なんだかお役御免みたいだな、俺。でも家事は分担しようよ、なるべく」
「そうだな、イマドキ美由に家事全部を任せるのは時代遅れだしな」これには父さんも賛同した。
「じゃああたしが家事分担を考えるから夜、発表でーす♪」
「わかった」と僕は大きな欠伸をした。
「あら、直也、寝不足?」
「当たりめーじゃねーか、ほとんど寝てねーよ」
「え?え?なんで?」美由が目をパチクリさせている。
「訊くか? そんなこと」
「そんなことって?」
「あーもう! 俺に言わせんなよ、ったく・・・」
「美由。それ以上、直也を刺激しちゃいかん」父さんは言った。
「もういい! 行ってきまーす!」僕はその場に居づらくなっていつもより早く家を出て学校へ向かった。
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