見られた!?

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見られた!?

いつもより早く学校には着いた僕だったが、体育会系の部活は朝練をやっているようで、教室にはすでにクラスメートの数人が朝のおしゃべりを楽しんでいた。 「ウッス!」僕が声を出すと、教室の空気が止まったように感じた。 (なんだろう、この違和感) 「・・・」 「ウッス。今日の俺、学校につくの早くね?」 「キャハハハ」教室の片隅に陣取る女子たちが笑い出した。 「な、何だよ!?」 硬式テニス部でクラスの女番長、池上紗季が声を上げた。 「なーおーやー君! おめでとう!」 「はあ?」 「はあって・・・。見たのよ、吹奏楽部の2組の寺嶋ちゃんが見ちゃったの!」 僕の脳みそが黒く染まっていく・・・。 昨日の『クレメンタイン』の帰り道の父さん、美由、僕のことを言っているのだとすぐにわかった。 やっぱり、誰かにみられたらどうしよう、という不安が的中した。 「ねえ、彼女さん? 寺嶋さんが言うにはすっごくスタイルが良くて可愛い南高の制服の子だって?」 「うっせいわ 関係ねーし」 「ね、マジで彼女できたの? 教えてよー」 「シャラップ! なんでもねえよ 親戚だよ 親戚」僕は間違っていない。お母さんは親戚だ。 「マジで? いまグループLINEで、直也のゴシップで炎上してるよ」 「勝手にせい! 寺嶋さんって2組?」 「そうだけど」 「俺、会うわ」 「だれに?」 「寺嶋さん」 「なんで?」 「訊きたいことがあって」僕は隣の教室に向かった。
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