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「そうか、誤解だったのか」
昼休み。僕とサッカー部の今井純也と同じくサッカー部の熊谷夏彦とで朝の話で盛り上げられている。
僕は学食で買った惣菜パンとおにぎりを食べながら必死でもう一度状況を説明した。
「なんだ、そんなに可愛いいとこがいるんなら今度、俺達に紹介してよ」夏彦はガツガツ食いついてくるタイプ。
「そうだな、俺たち東高サッカー部何人かで、グループデート、いいかもしれない!」純也も乗り気だ。
基本的にうちの高校のサッカー部はチャラい。
「な、直也、今度そのいとこの美由ちゃんにメンバー集めてもらってよ。4:4くらいの人数でさ、遊園地とか行くのどうかな?」
「いやだよ、いとこの子にグループデートなんて申し込めないよ。それに美由には好きな人がいるんだ」僕は宣言した。
「え?! マジ? なんだよ どんな男?」
「・・・んっと、俺達よりずっと年上な人」
「ひえー、大学生かな 社会人かな 美由ちゃんって早熟なんだなあ」
「ってわけで、君たちに脈はない、ハッハッハ」僕は引きつりながら笑ってみせた。
「本当は、直也、お前が好きなんじゃねーの、その美由ちゃんのこと」純也は言った。
「そうだ! だから直也はずっと片思いで、叶わぬ恋を追い求めてるんじゃないのか」と夏彦。
僕は焦った。たしかに図星を射ている。
「ちゃうわい! 俺は・・・」
「俺は?」
「中学から好きな先輩がいる!」僕は告白した。
「ひょえー! 初耳。本当か?」
僕は、中学のサッカー部でマネージャーだった佐藤奈々子先輩のことを話した。
僕がサッカーを辞めても、いつも学校で声をかけて心配してくれた美人で優しい奈々子先輩。
「あー直也には叶わぬ恋かもな」夏彦たちは笑った。
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