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スーパーボンバーガール!
翌日、僕は放課後、まっすぐに喫茶店『クレメンタイン』に向かった。
駅前にあったはずと探していたら、懐かしい区画に昔のまま、お店があった。
レンガ調の壁面に蔦が這っていて素敵な外観だ。
ドアには・・・。
「本日貸し切り」
の札が下がっていてシャッターが少し下ろされていた。
(貸し切り・・・たしかに他のお客さんがいて、再婚相手を紹介するというもの父さんには恥ずかしかったのかもしれない)
そんなことを思いながら、木製の扉を開ける。チリンチリン・・・と鈴が響いた。
「よお、直也くん! だよね? 久しぶり! 大きくなったなー これまたイケメンになって。さ、さ、入って入って」店に入るなり、マスターの秋山章太郎さんが大きな声で僕を迎えてくれた。
「こんにちは、父がいつもお世話になってます」
「おや、そんな立派な挨拶までして、いい男になったな。前に来たときは小学生だったもんな」ヒゲをたくわえた章太郎さんは「ガッハッハ」と笑った。
「直也! こっちこっち! 早かったな」奥の2人席に父・龍之介が座って片手を振り上げていた。
「2人席?」僕は不思議に思った。
「まあ、いいから、お前もブレンドのコーヒーでいいか?」父さんは言った。
「あ、いや、えーっと・・・クリームソーダ!」
「なんだ、もう高校生なのにコーヒーは飲まないのか?」
「なんか苦いもん。それに喉乾いたし、甘いもんがほしいんだ」
「直也はまだおこちゃまだな」
店内を見回すと、白い漆喰の壁には父さんの油絵の風景画が、たくさん飾られている。
「それより、父さん、彼女さんは? この席じゃ座れないじゃん」
「まあ・・・いいんだ。後で分かる」
「彼女さん、来ないの?」
「いや、来ると思う」
「じゃ4人掛けテーブルのほうがいいんじゃないの?」
「ああ、まあな、直也は学校はどうだい?」父さんはなにか落ち着かないように見えた。
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