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第二章『焼肉定食』
・・・・・・
「ちょっと待てよ」
ようやく寺門に追い付いた上島。
「お前こういう時だけは本当身軽だよな」
「まぁな」
小馬鹿にされているのではなく褒められていると勘違いする寺門。
「さぁて、今日は何定にするかなぁ?」
頭の中は今から向かう食堂のことでいっぱいのようだ。
ここ最近はずっとそこにばっかり行っている。
懐に優しいのはもちろんのこと、その他にもいろいろなサービスがあるからだ。
寺門が何定にしようか迷っている間にあっという間に到着。
「おいちゃん、おばちゃん。ちは~」
お昼時ということもあり中はお客さんでいっぱい。
ちょうどテーブル席が一ヶ所空いていたので、そこに陣取ることに。
「おう、寺門さんに上島さん。いらっしゃい」
おいちゃんと呼ばれた人は料理をしながら顔を覗かせて言った。
「二人共、いつもありがとね。今日は何にするかい?」
今度はおばちゃんと呼ばれた人が二人にお冷やを持ってきた。
「え~とねぇ、おいらは・・・やっぱ焼肉定で」
「結局いつも通りじゃねぇか。俺も同じので」
「いいだろ。美味いんだから」
なんだかんだで定番に落ち着く二人。
焼肉定食はこの店『満副(みつふく)食堂』の一番人気。
ちなみに常連の人達からは『満副』と書いて『まんぷく』と呼ばれている。
なにせ量がハンパないのである。
いわゆる世間でデカ盛りと言われるサイズがこの店の通常サイズにあたるもので。
そこも寺門のお気に入りの一つ。
「は~い、お待たせぇ」
ようやく寺門の元に焼肉定食が届いた。
お腹ペコペコの寺門はおばちゃんがテーブルに置く前に肉にがっつきそうな勢いだ。
いつもの見慣れた光景ながら笑ってしまう上島。
「いただきま~す」
目の前に広がる肉の海に寺門のよだれは止まらない。
それにしてもすごい量だ。
付け合わせのキャベツもてんこ盛り。
上島が改めてその量に驚いていると
「おばちゃん、ご飯とキャベツおかわり~」
寺門が元気よく茶碗を差し出している。
「お前食うの早っ!」
なんと上島が手を付けるよりも早くおかわりを要求する寺門。
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