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「あっ、ごめん! 大丈夫かい!」
男の人の声がすると、ぶつかった左肩とお尻、それに手の平が痛み出して涙が出てきた。
「おっ、おっ、おばあちゃんが死んじゃうッ!」
ぼくは泣きながらお店の中を左手で指差した。男の人がかがんでいたが目の前がゆらゆらしてよく見えなかった。
「え、なんだって?」
「お、おばっ、おばあちゃんが死んじゃうッ!」
ぼくは再び言うと、男の人は立ち上がってお店の中に駆け込んで行った。
左肩とお尻と右手がいたいのを我慢して立ち上がってお店の中へ入ると、奥の方でお兄さんがママが使っているような電話でしゃべっていた。
「はい、敷居町三丁目の駄菓子屋さんです! おばあさんが倒れているとお孫さんがっ! はい、はい、わかりました、お願いします!」
ぼくがお兄さんの側まで行くとお兄さんがこちらを向いた。カッコイイお兄さんだった。ぼくはこのお兄さんにどこかで会ったような気がした。
「いま、救急車呼んだから。あ、ぼく、大丈夫だったかい? ごめんな、急に出てきたもんだからよけられなくって」
「うん、大丈夫。おばあちゃんは大丈夫?」
ぼくは痛かったけど我慢してお兄さんに言った。
「すぐに救急車が来てくれるから大丈夫だよ」
良かったと思い、ふぅっと息が出た。
縁側によっておばあちゃんの顔を覗くと、目と口を大きく開いたまま動かなくなっていた。
もう死んじゃったのだろうか。病院で生き返るんだろうか。さっきまであんなに楽しそうにしていたのに、もしかしたらぼくのせいかもしれない。
ケーヤク結婚の相談をしたからおばあちゃんがひっくり返っちゃったのかもしれない。
このままおばあちゃんが死んじゃったらママになんて言おうかと思うと涙と鼻水が出てきた。
「大丈夫、お医者さんが助けてくれるよ」
お兄さんに頭を撫でられると、なんとなく安心する事が出来て頭をたてに振った。
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