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両脇に陳列された駄菓子の棚の間の通路を進んで、靴を脱いで畳の上に上がった。
ママは仕事中のはずだが着てくれるのだろうか。しかし、待つしかないと思った。
とりあえず、食べかけていたおせんべい・カステラスペシャルを口に入れてぬるくなったお茶で流し込んだ。
一人でいるのもどうにも退屈である。
なんとなく後を見ると、おじいちゃんの白黒写真が黒くつやつやした小さなお墓と一緒に金ダライの上に乗せられていた。
紫色の小さな座布団の上に、金の湯飲みが乗っており、脇に金色の棒も置かれている。
テレビで見た事がある。チ~ンと鳴らして死んだ人にお祈りするのだ。
おじいちゃんは結構前に死んでしまった。ぼくが来るといつもお酒を飲んでいた。
赤い顔をしながらタライでオチンチンを隠す踊りを見せてくるのだ。理由はわからないが急に死んでしまった。
おばあちゃんもおじいちゃんのところへ行ってしまうのだろうか。
おじいちゃんが死んでしまったとき、おもしろいおじいちゃんと会えなくなってしまうのでとても悲しかった。
ぼくはおばあちゃんと会えなくなるのが寂しいので、金色の湯飲みを金の棒で叩きチ~ンと鳴らし、おじいちゃんには悪いけど目を閉じておばあちゃんが無事に返ってくるよう助けてくださいとお願いした。
目を開けると白黒写真のおじいちゃんがニッコリと笑っていた。ぼくはなんだか安心した気がしたのでほっとため息をついた。
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