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「契約っていうのはそのぉ……お友達とするお約束と似たようなものね」  お友達とのお約束? じゃあ、あとで学校に集合ね、とか、今度あげるね、とかそういうものだろうか。  ということはお姉さんの結婚はまだ決まった事ではないのだろうか。 「じゃあ、まだ結婚すると決まったわけじゃないの?」  ママは顎に手を当て腕を組んで顔をかしげた。 「う~ん……お約束だから結婚はするんじゃないかなぁ……契約っていうのはそういうものだから、でも、あれぇ、契約だから結婚したあとの取り決めのことなのかなぁ、結婚することが契約されてるから、いまは契約恋愛中ってことかなぁ、でもどんな契約なんだろう、ママわかんなぁい」  ママが大事な話を差し置いて年齢を若くしようとしたので頭がピキッとなった。 「そこ大事でしょ!」  ボクがテーブルに両手を付いて身を乗り出すと、ママは体をビクッとさせて少し後ろに下がった。 「なんでそんな怒るのよ~?」ママは顔をしかめて言った。  しまった、ばれたかもしれないとぼくは思い、すぐに普通にしようとした。 「別になんでもない」と言いながら、言い訳を考えた。 「お姉さんが結婚したらケーキ食べれなくなっちゃうのかなと思って」 「ああ、そういう事かー、そうだねー、ケーキは食べられるかもしれないけど、お姉さんが結婚してお店を出て行ったら、お姉さんには会えなくなっちゃうかもねー」 「えっ!?」
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