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 お姉さんにあえなくなる!? ケーキなんてどうでもいいんだ、いや、そんな事は無いけど、美味しいケーキがいいに越した事はないけど、ケーキをお姉さんが渡してくれるかどうかの方が、ぼくにとってもっとも大事な事なのだ。  お姉さんの結婚は決まっているのだろうか? お姉さんに会えなくなってしまうのだろうか? ケーヤクとはいったい何なのだろうか? わからない事だらけであたまがパーになりそうになってきた。  でもママは役に立ちそうもない。そうだ、警察官のパパなら調べてくれるかもしれない。  あ、でもパパとママは結婚してるから、パパはするどいからぼくがケーキ屋のお姉さんを好きな事に気づいてママに言ってしまうかもしれない。    結婚している二人のあいだに秘密は禁止だという事を聞いた事がある。  いったいどうすればいいのだろうか。こんな事をしている間にもお姉さんは結婚してしまうかもしれない。急がねばならない。 「ちょっと、どうしたのよ?」  ママが急に話しかけてきたので、ママの顔を見た。 「なんでもない」  ママがあまりするどくなくてよかったと思った。しかし、ぼくは急にお腹が空いたように元気がなくなっていく気がした。  ぼくは歯磨きをして、いつもより早くベッドに入った。電気が消えて部屋の中が暗くなると、なんだか不安な気持ちになった。  いますぐにでもケーキ屋さんに行って、まだお姉さんがいるかどうか確かめたかった。でも、外は真っ暗だしダメだと思った。  結婚、お姉さんが結婚……ケーヤク……そうだ、お約束みたいな物だって言っていたから、それを破れば結婚しなくていいのかもしれない……でも、どうやってすればいいんだろう……明日、ヤクザなおばあちゃんに相談してみよう……。  だんだんまどろんできた。
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