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「トゥモォ~」 「うわーっ! ばぁさんまたかよっ!」 「あああーーー」 「くそーっ」  学校の帰りに駄菓子屋へ行くと、お店の奥の方からおばあちゃん達がいつものゲームをやっている声が聞こえた。 そちらに歩み寄ると、両側に置かれた棚からチョコレートやチューインガムの甘い匂いが漂ってきてよだれが口の中に溢れた。 奥の畳の方へ近づくと、ジャラジャラとブロックを崩す音が聞こえてきた。 「ふひっ、ふひっ、ふひっ、まだやるかえ~?」  畳の上で腰を曲げたねずみ色の頭のおばあちゃんがにやにやして若者達の顔を見回していた。  顔はしわくちゃで、目の両端が下がっている。若者達は苦い物を食べたような顔で目をつむっていた。どうやらまた負けたらしい。 「どうするんだい」 「こ、降参します……」 「毎度」  おばあちゃんは座ったまま後に振り向いて、カゴに入っている十円のチューインガムを手にとって若者の前に差し出した。  すると、若者達は各々財布を取り出し、紙のお金を何枚もとりだしおばあちゃんに差し出した。    おばあちゃんは若者達が差し出したお金を取りまとめると、にやにやしながら一枚一枚指で弾くように数え、時折口に指を入れて取り出してはまた数えた。  ばくが駄菓子屋に来るとおばあちゃんたちはたいていこのゲームをやっている。  どんなルールかわからないのだが、ゲームがおわると若者達は十円のチューインガムを紙のお金で買っていくのだ。  なぜ十円玉で買わないのかはぼくにはわからない。特別美味しい貴重なガムなのかもしれなかった。    若者達が畳から立ち上がり、縁側においてあった靴に足を入れると僕の方へ向かって歩いてきた。
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