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「くそっ、あいかわらずヤクザだせ……」  三人とも腰を丸めてため息をつきながら、僕の隣を通ってお店を出て行った。あんまりお菓子が売れていないのに、なぜかおばあちゃんはこのお店をやめるこなく生活していた。 「おや、ケン坊じゃないかい、どうしたん?」  ぼくに気づいたおばあちゃんが声をかけてきたので、畳の前で靴を脱いで上へ上がり、おばあちゃんの前に座った。シップのにおいがする。 「ちょっと、おばあちゃんに相談があってね」 「ほう! おりいって相談とは、なんかねぇ? あぁ、いま茶ぁ入れるわぁ」  おばあちゃんは孫のぼくにあうと嬉しいらしい。おばあちゃんがふりむくとコポコポコポと言う音が聞こえ、白いモヤが上がった。  またコポコポコポと音がしたあと白い湯気があがり、おばあちゃんがふりむき、白い湯飲みに入ったお茶が、コン、コン、とテーブルの上に置かれた。 「お菓子も出すわぁ」    またもやおばあちゃんは振り返って、小さなタンスの引き出しを引いて中身をあさり出した。ガサガサとビニールの袋がこすれ合う音が聞こえる。  音がやむとおばあちゃんが振り返り、テーブルの上に口の空いたせんべいとカステラの袋が置かれた。 「お食べ。茶ァ、熱いから、ふーふーして気ぃつけ」 「うん、いただきます」  ぼくはいつものようにおせんべい一袋とカステラを一袋取り出し、おせんべいを袋の中で四つに割った。  そして、カステラの袋を開けて半分口にしたあと、四つになったおせんべいのひとつを口に含んで噛みしめた。  硬さとやわらかさ、そして甘さとしょっぱさが入り混じったこのおいしさを知っているのは日本でもぼくだけじゃなかろうか。  その秘密の美味しさをタップリ楽しんだ後、熱いお茶で喉の奥へと流し込んだ。 「ふひっ、ふひっ、うまいかえ?」  おばあちゃんの、孫が喜んでいるか確かめる目が光る。 「うん、おいしい。いつもありがとう」 「うんうん、そうか、そうか、それはよかった、ところで、相談というのはなんだえ?」  さらにおばあちゃんのしゃくりあげるような上目遣いの目が光る。  おばあちゃんはなにか面白い話を期待しているらしいが、あの話がおもしろいかは今のぼくにはよくわからなかった。 「おばあちゃん、ケーヤク結婚って知ってる?」
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