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「それに千夏は努力家で何でもできるのに、それを鼻にかけないし、さらに向上させようとするでしょ?だから周りに信頼されてるんだよ!ほら、この前も企画のグループリーダーを任されたって言ってたじゃん?千夏を必要としている人が会社にもたくさんいるはずだから、自信持って!」
姉は今日1番のとびきりの笑顔を見せた。その表情が眩しくて、視界が一気に広がった。心のろうそくに火が灯された。目頭が熱くなり、1滴、2滴と温かな雫がこぼれた。
「……お姉ちゃん、ごめんなさいっ……私、会社でも全然褒められなくて、失敗ばかりで自信がなくて……。早く辞めなきゃって焦って、退職願まで書いたのに……っ、いつも焦って結果を出そうとして……!……ちゃんと、ちゃんと待って、焦らずゆっくりの方が、きっといいんだよね……!」
「そうそう、焦らずゆっくり。大丈夫、千夏はしっかりしてるからちゃんとできるよ」
頭に姉の手の温もりが伝わった。大嫌いだった中途半端や曖昧な言葉も、今なら受け入れられそうな気がした。
私はきっと、誰かに寄り添ってもらいたかったのだろう。姉はいつも私の味方でいてくれる。それだけで心が軽くなった。
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