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しばらく姉の優しさに甘えていると、廊下から大きな足音が聞こえた。
姪のゆうが勢いよくドアを開けて部屋に入ってきた。恐らくしばらく戻ってこない母親が心配で様子を見に来たのだろう。
「千夏お姉ちゃん、どうして泣いてるの?どこか痛いの?」
ゆうは不安そうに私に駆け寄ってきた。うっかり泣いている姿を姪に見せてしまった。いい歳して恥ずかしい。しかしすかさず姉がフォローに回った。
「お母さんが面白いこと言ったから、千夏お姉ちゃん笑いすぎて泣いちゃったの」
「お母さん、どんなこと言ったの?」
「内緒」
「えー!?教えてよ〜!」
ゆうは頬を膨らませた。子供らしく表情が豊かだ。またしても姉に気を遣わせてしまった。でも昨日と違ってなぜか前向きな気持ちになれた。
ふと窓に視線を向けると、カーテンの間から晴天がこちらを覗いていた。さっきまでの曇り空と打って変わって、眩しい光が部屋に差し込んでいる。曇りを経験してからだと、今の天気がより明るく感じられる。
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