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可愛らしい声と共に私に走り寄ってきた少女。この子は姉の娘・ゆうである。つまり、私の姪っ子だ。ゆうは愛らしくて人懐っこく、可愛がってあげたい気持ちは山々だが、正直今はそんな状態ではない。子供相手に情けないな、私。どう言葉を返せばいいか迷っていたところ、姉がゆうに声をかけた。
「ゆう、千夏お姉ちゃんは仕事から帰ったばかりで疲れてるから、遊ぶのは後にしなさい」
「えー?はーい」
ゆうが唇を尖らせて渋々承諾した。そして、姉の視線は私へと向けられた。
「千夏、とりあえず手を洗って着替えておいで」
「……うん」
姉の言葉に従い、私は逃げるように洗面所へ向かった。もう今は誰とも話したくなくて、顔を合わせることすらできなかった。
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