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「おお!凄いな、もう大剣が振れるのか!つるぎひめ、お前は立派な戦士になれる素質があるようだな!」
「光栄です、お父様!剣の稽古、超楽しいです!」
つるぎひめ、十三歳。
見た目はかの遠い国の、それこそ某白雪なんちゃらとかいうお姫様にも負けずと劣らない素晴らしい美貌のお姫様へと成長しました。白く透き通るような肌に、薔薇色の頬、流れるような金の髪に青い目。ドレスを着て黙ってにこにこと立っていれば、見惚れぬ男性はいないことでしょう。この国で一番の美しさに育ったその少女は、この国で結婚ができる二十歳の成人の年を迎える頃には、さらに素晴らしい美女へと成長しているに違いありません。
問題は。今まさに姫がドレスではなく、剣士の服を着ていること。父である王様に、剣の稽古をつけて貰ってとっても嬉しそうにしていることでしょう。
そう、その名前の通り、つるぎひめは勉強よりもダンスや歌やピアノやお作法のお稽古よりも何よりも、とにかく剣の練習が大好きな娘なのでした。運動神経だけで見るならば、歴代のどんな男性の王様よりも素晴らしい素質を持っていると言えるでしょう。馬に乗るのも得意であり、王様に連れられて狩りに行けば、いつも他の王族貴族達よりも素晴らしい成果を出しています。
実は男の子が欲しかった王様ですが、つるぎひめが女の子ながら強くたくましく成長してくれるので喜んでいました。剣や銃の技術も馬術も、みんな教えた先から楽しそうに吸収してくれるのですから。
そう、王様とつるぎひめにとっては、まったく、それはもうなんの問題でもないのですが。
「ちょっと、あなた!つるぎひめ!何をしているの!!」
お妃様です。
お妃様は、誰よりも美しい姫として育ったはずのつるぎひめが、その名の通り剣の稽古ばっかりして、お姫様としてのお作法の授業を軒並みサボるのでとても困っていました。
「つるぎひめは女の子なんですよ、なのに、剣なんて必要ありません!というか王女なんですから、兵士になることなんかないでしょ!?」
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