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「ええー、儂は自分で戦場にも出るぞ?つるぎひめもそうしたいと言ってるのだからいいではないかー」
「だ、め、で、す!つるぎひめは、ちゃんと素敵なレディに育ってもらわなければ困ります。分かってないでしょうけど、そろそろ婚約者を決めなければいけない時期なのですよ?歌もダンスもできず、お作法も中途半端、頭も悪くて剣のお稽古ばっかりして馬乗り回して銃ぶっぱなしてるお姫様なんか誰が御嫁にしたいと思いますか!!いいえ誰もいないです!!」
「お母様ー?ちょっと言い過ぎじゃないですかねー……?」
まあ、お母様が言うことがつるぎひめにもわからないわけではありません。
自分が、普通のお姫様と違うということを、つるぎひめはよく理解していました。華やかな可愛いドレスより、男性が着るようなかっこいいズボンやスーツ、隊服の方がステキだと感じます。スカートなんて履きたくないし、コルセットもきつくてものすごく嫌です。男性に媚びを売ってにこにこと高嶺の花を演じているより、剣を振って勇ましく訓練したり戦う方が性に合っていると感じます。
実際、つるぎひめは生まれつき、普通の女の子よりずっと力も強く体力もありました。近年は本格的に訓練をつけてもらっていることもあり、より一生筋力体力がついてきたという自負があります。貴族の成人男性を打ち負かすことも少なくありません(まあ、向こうが王女様相手で手加減していた可能性も否めませんが)。
なのに何故、自分が一番好きなこと、得意なことをしてお国の役に立ちたいと思ってはいけないのでしょう?
「お母様、私は戦う女王になりたいのです。もっともっと剣の腕や戦の技術を学び、力強くこの国を守れる存在になりたい。それはいけないことなのですか?」
つるぎひめの言葉に、お妃様は険しい顔で首を横に振りました。
「いけません。……それは、女の子らしくない。そのようなお姫様を好む王子様や貴族の子息がどこにいるのでしょう?」
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