2番センター 秋元夏樹

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2番センター 秋元夏樹

もう少しだけ、リードをひろくとればあの盗塁はセーフになれた。 3回表、相手ピッチャーから作ってくれたチャンスに、タイムリーヒットを放って1対1の同点に追いついた。 そしてさらに勝ち越しのランナーとして一塁に残る。 この後は頼りになるクリーンナップにつながってゆく。 もし盗塁してチャンスを広げられれば勝ち越せる可能性だって高くなる。 相手ピッチャーもきっと盗塁されるのを嫌がっていたのだろう、初球の前から牽制を入れてきた。 クルっ。ビュッ。パスっ。 上手い。 一回の牽制で分かった。 少しでも戻るのが遅れれば牽制で刺されてしまう。 そう思った分、リードが少し小さくなった。 思い切って初球からスタートを切った盗塁は、相手キャッチャーからの矢のような送球に阻まれてアウト。 弱気になって小さくなったリードぶん、ベースに届かなかった。 もう少しだけ、リードを大きく取ればよかった。
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