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最悪な体育祭
「はぁ、はぁ……」
僕は息を切らしながら必死に走った。
僕は遅咲走太。
ごくごく普通の私立に通っている中学2年生だ。
今は体育の授業、運動が苦手な僕にとっては最悪な50メートル走の途中だだ。
もう、僕と同じレースを走った男子たちはとっくのとうにゴールしている。
最後の5メートル余り、足がなかなか前に行ってくれない。
そして、僕は足をもつれさせながらゴールした。
「タイム、13.2秒」
そう、体育の先生からタイムを言われる。
「あっー、遅咲。クラス最下位じゃね?」
体育の先生の記録用紙を勝手に見た陸上部の男子が、そう僕をからかった。
「うっわぁ、またかよ。遅咲」
「13秒とか遅すぎかよ」
そう僕よりはるかに速い男子たちが集まって、僕のことをからかった。
徒競走の時はいつもそう。
僕のタイムを見ては、僕のことをからかう。
僕だって、いやで足が遅いわけじゃないのに……。
キーンコーンカーンコーン
「それじゃあ、各自で教室に戻って着替えてこい!」
そう体育の先生が大声で言う。
僕はもうこれ以上、からかわれるのが嫌で急いで教室に戻った。
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