あとのまつり

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当時17歳だったわたしは、ずいぶんものを知らなくて、そのくせわかったような気でいて、だから今よりよっぽど無敵だった。 世界の単位は地元で、学校で、彼氏で、友達で、とにかく手の届く範囲で、中心にわたし。 わたしはいつだって世界で1番幸福で、世界で1番不幸だった。 人生の最重要項目は恋で、だけどそれはファッションみたいなものでもあった。 目指すべきスタイルは、より新しくて見栄えが良くて、友達が羨むような青春っぽいやつ。 飽きたら着替える。 そんな風だったから相手のことが見えていなくて、それどころか、自分の気持ちさえ無視してた。 付き合って半年記念のデートを目前にして「別れたい」と言ってきた隼人(はやと)に対し、咄嗟に差し出したのは「わたしも言おうと思ってた」という返答だった。微笑みさえ浮かべながら、平気な感じで。 実際のところはその衝撃で、息をするのがやっとの状態だった。面と向かって、こんなにもきっぱりと振られたのは人生初のことだった。 告白してきたのそっちじゃん。 いつも会いたいって言うのそっちじゃん。 新しい誰かといい感じになって、別れたいって突き放すのはわたしで、必死にすがりついて来るのはあんたでしょう? 始め、腹の中で吹き出した感情は怒りだった。 表には出さず、笑顔で手を振った。精一杯の報復だった。 家に帰って1人になって、すぐにゆきえに電話をかけた。 「ふられる前に、ふってやれば良かった」 隼人への怒りをにじませながらも余裕の自虐で笑い飛ばす。 それからいつものように「誰かいい人紹介して」とか言って、終止符を打つ。 はずだった。
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